Azure ExpressRoute 仮想ネットワークゲートウェイの自動割り当てパブリックIP機能の紹介

Azure ExpressRouteは、Azure環境とオンプレミス環境の間を専用線で接続する機能です。

Azure ExpressRouteを使用する場合、まず仮想ネットワーク ゲートウェイ(ERGW)を作成する必要があります。ERGWにより、Azureの仮想ネットワークとオンプレミスのネットワークの間はパブリックIPアドレスを経由せずに通信することが可能となります。

2025年7月25日にGenerally Available(GA)された新機能により、ERGWの作成、および管理手順の一部が変更されました。

はじめに

※本記事は2025年10月時点の情報をもとに記載しています。

本記事では、2025年7月25日にERGWに実装された自動割り当てパブリックIP機能について、以下の観点で記載します。

  • 機能の詳細
  • 機能実装前後の変更点
  • 機能実装の利点(本記事を作成した背景もここで説明します)

機能実装前の2025年7月以前に作成されたERGWと、機能実装後の2025年7月25日以降に作成されたERGWでは、今後の管理方針にも違いがあるので注意が必要です。

本記事の最後に、関連するMicrosoft公式サイトのURLをまとめています。

ERGWの自動割り当てパブリックIP機能

機能の詳細

ERGWを作成する際、パブリックIPを割り当てる必要があります。

自動割り当てパブリックIP機能により、ERGW作成時に自動で作成されたパブリックIPが割り当てられます。このとき作成されたパブリックIPはMicrosoftによりAzure内部で管理されるため、利用者がパブリックIPリソースとして閲覧、および操作することはできません。

※本機能はERGW作成時点で適用されます。2025年7月以前に作成されたERGWに本機能が適用されることはありません。

機能実装前後の変更点

自動割り当てパブリックIP機能の実装前と実装後を比較して変わった点を、ERGW作成の観点で下表にまとめます。

※本機能のGAは2025年7月25日ですが、実際にERGWをデプロイしたところ2025年7月2日~2025年7月24日に作成したERGWにも本機能が適用されました。

  機能実装前 機能実装後
【作成時】ERGW用のパブリックIPリソース作成 必要 不要
【作成後】ERGWに割り当てたパブリックIPリソース管理 必要 不要

以下は、自動割り当てパブリックIP機能の実装前後の画面例です。

機能実装前

2025年7月1日時点のERGW作成画面です。リソース作成時、割り当てパブリックIPリソースの選択が必須です。

【機能実装前】ERGW作成画面

2025年7月1日に作成されたERGW概要画面です。関連付けパブリックIPリソースが確認できます。

【機能実装前】ERGW概要画面

パブリックIPリソース側からも、関連付け先であるERGWリソースが確認できます。

【機能実装前】パブリックIP概要画面
機能実装後

2025年8月1日時点のERGW作成画面です。リソース作成時、パブリックIPが自動的に作成されることが注意書きされ、パブリックIPリソースの選択画面は削除されています。

【機能実装後】ERGW作成画面

2025年8月1日に作成されたERGW概要画面です。関連付けパブリックIPの項目が削除されています。

【機能実装後】ERGW概要画面

機能実装の利点

自動割り当てパブリックIP機能の主な利点は、以下3点です。

  1. セキュリティ強化
    • パブリックIPはMicrosoftにより内部的に管理され、利用者へ公開されなくなりました。
    • そのため、外部からパブリックIP経由の侵入によるリスクが軽減されます。
  2. 管理工数の軽減
    • 利用者によるパブリックIPリソースの管理が不要となりました。
  3. コマンドによるデプロイの簡易化
    • Azure PowerShell、およびAzure CLIでERGWをデプロイする際、パブリックIPの入力が不要となりました。

このうち2つ目の利点について、パブリックIPリソースにかかる管理工数の例を自身の経験をもとに補足します。

従来のERGWを利用する環境において以下のような課題が発生し、課題対応に時間を要しました。

従来のERGWで発生した課題

従来のERGWを利用する環境において、ERGWに関連付けされたパブリックIPリソースがBasic SKUでした。

Basic SKUは2025年9月末で廃止される機能であるため、ERGWの利用を継続するにはパブリックIPリソースをStandard SKUにアップグレードする対応が必要でした。

従来のERGWに対する課題対応

上述の課題対応のため、パブリックIPリソースのアップグレード作業を実施しました。

アップグレード作業はダウンタイムが発生するため、サービス影響の少ない深夜帯に実施する必要があり、利用者、作業者ともに平常時より大きな負担が発生しました。

  • 作業前:事前の調査、計画
  • 作業実施:ERGWの再作成、パブリックIPのアップグレード(深夜帯に作業を実施)
機能実装後の課題対応

自動割り当てパブリックIP機能の実装後は、ERGWに関連付けされたパブリックIPリソースが存在しなくなるため、上述の課題に対する管理工数が軽減されることが期待できます。

参考リンク

本記事に関連するリンクを以下にまとめています。

おわりに

2025年7月25日にGAされた自動割り当てパブリックIP機能が実装されたことにより、従来のERGWと比較して利点が増えました。これからERGWのデプロイを予定している方は本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

また機能実装後に作成したERGWと従来のERGWが混在する環境では、パブリックIPリソースの管理の要否が異なります。従来のERGWは今後もパブリックIPリソースの管理が必要であることに注意してください。

執筆担当者プロフィール
山﨑 優美

山﨑 優美(日本ビジネスシステムズ株式会社)

ハイブリッドクラウド本部に所属。Windows Server・Linux、どちらのOSでもさわれるインフラエンジニアです。3児のママも兼務しています。

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