【Microsoft×生成AI連載】シリーズの記事です。
本記事では、Copilot Studioのエージェントフローについてご紹介します。記事内では実際にフローを作成していますので、操作の参考にしていただけますと幸いです。
エージェントフローを使ってみたい方、AIエージェントに興味がある方はぜひご覧ください。
これまでの連載
これまでの連載記事一覧はこちらの記事にまとめておりますので、過去の連載を確認されたい方はこちらの記載をご参照ください。
エージェントフローの概要
エージェントフローとは、Copilot Studio 内で動作する自動化ワークフローです。手動または特定のイベントやスケジュールによってトリガーされ、反復的なタスクを効率化させることができます。
エージェントフローは、Copilot Studioのキャパシティを消費することでアクションを実行します。
キャパシティとは、処理できるデータやリクエストの数を表す容量のことです。消費した分を支払う従量課金プランや、事前に購入した分のサービスを利用する形態などが用意されています。
より詳細な情報が知りたい方は、以下の公式ドキュメントも併せてご覧ください。
エージェントフローの実践
エージェントフローの作成
実際にエージェントフローを作成してみます。
まず、Copilot Studioのホーム画面から「フロー」をクリックし、エージェントフローの管理画面を開きます。
管理画面では作成済みのエージェントフローが表示されますが、記事執筆時点はまだ一つも作成されていなかったため、何も表示されていません。新規作成するために「新しいエージェントフロー」をクリックします。
新規作成画面では、どのようなエージェントを作成するかを自然言語で説明することができます。
今回は「新しいファイルがSharePointに追加されるたびにTeamsでメッセージを受け取る」という説明を入力し、送信ボタンをクリックします。
送信した説明に基づいて、Copilot Studioからフローの内容を提案されました。
想定していた動作である「ファイルが作成されたとき」に「チャットまたはチャネルでメッセージを投稿する」という内容が提案されたため、「保持して続行する」をクリックします。
次のステップとして、接続の確認が表示されます。先ほど保持したフローでは、SharePointアクションとTeamsアクションにて各サービスへの接続が必要となります。今回は自動的に接続が完了したため、そのまま「Create」をクリックします。
※ 組織の環境によっては、各種アクション右端の三点マークから簡単な接続設定が必要な場合もあります。
「Create」をクリックしたことでフローがデザイナー上に表示され、視覚的にわかりやすくなりました。この画面では、各アクションの詳細な設定を行うことができます。
トリガーとなるSharePointアクションを選択し、左側に表示されたパラメーターにて既存SharePointサイトのアドレスやライブラリ名を設定します。今回は「blogテスト用」フォルダーにファイルが作成されたときにフローがトリガーされるように、アクションをカスタマイズしてみました。
続いてメッセージ通知用のTeamsアクションを選択し、同じく左側に表示されたパラメーターにて送信先のユーザーやメッセージ内容を設定します。画像では、自身の個人チャット宛に「A new file has been added to SharePoint.」とチャットが投稿されるように設定しています。
以上でエージェントフローの設定は完了です。実際に利用するために、画面右上の「下書きを保存する」及び「公開」をクリックします。
作成したエージェントフローの動作確認
作成したエージェントフローが想定通りに動作するか確認します。
トリガーに指定したSharePointの「blogテスト用」フォルダに、テスト用ファイル.txtというテキストファイルを配置してみます。
想定通りにエージェントフローが動作し、Teamsの個人チャット宛にメッセージが届きました。以上で、SharePointサイトにファイルが作成されたことを通知するフローの完成です。
作成済みのフローが表示されていた場合
エージェントフローの管理画面にて作成済みのフローが表示されている場合、UIが若干異なっていました。
この状態で新たにフローを作成したいときは、画面上部の入力欄から直接フローの説明を送信することで、同様にAIからのフロー提案へと移行しました。
利用シーンとメリット、注意点
利用シーン
Copilotにエージェントフローのユースケースを提案してもらいました。
- 社内ヘルプデスクの自動応答
- パスワードリセットをしたいユーザーに対し、リセットを実行し完了メッセージを返す
- 営業支援チャットボット
- 顧客の最新見積もりを知りたいユーザーに対し、CRM(Dynamics 365)からデータを取得しチャットで返答
- 社内申請の簡略化
- 休暇申請をしたいユーザーに対し、申請フォームを表示し入力内容をSharePointやTeamsに送信
メリット
- AIが提案するトリガーやアクションを使用できるため、シンプルな操作で設計可能
- 必要に応じて編集することでカスタマイズもできる
- フローの実行ごとにCopilot Studioのキャパシティを消費するため、Power Automate等の追加ライセンスが不要
- 複雑なフローや独立したフローを大量実行する場合には必要となる可能性もあるため、詳細な利用条件の確認も推奨される
- 既存のAutomateフローをCopilot Studioに取り込むことも可能
- ただし一方向のみであり、エージェントフローをAutomateフローに変換することはできない
注意点
- Copilot Studioのキャパシティ制限
- フローの実行ごとにキャパシティを消費するため、大量実行が予想される場合はキャパシティの確認と管理が必要
- コネクタの種類
- 現時点では、Power Automateに比べて利用可能なコネクタが少ないため、外部サービスとの連携が制限される場合もある
- チャットベースのトリガーに最適化
- 会話の流れに沿って実行される処理には強いが、複雑な条件分岐には不向きな場合がある
- Power Automateとの使い分けを検討する
- 会話の流れに沿って実行される処理には強いが、複雑な条件分岐には不向きな場合がある
まとめ
本記事ではCopilot Studioのエージェントフローをご紹介し、例としてSharePointでのファイル作成を通知するフローを作成しました。
今回作成したフローに限らず、様々な反復タスクをエージェントフローによって自動化・効率化することが可能です。Copilot Studioでは、説明をもとにニーズに合わせて適切なアクションを提案してくれるため、比較的簡単に業務効率化を促進できそうだと感じました。
私もエージェントフローによってどのようなアクションを行うことができるか、引き続き調査していきたいと思います。
おまけ(Copilot Chatによる本記事の要約)
本記事ここまでの執筆内容をCopilot Chatに転記し、記事内容の要約をしてもらいました。
この記事は、Microsoft Copilot Studioの「エージェントフロー」機能について紹介しています。エージェントフローは、反復的な業務を自動化するためのワークフローで、Copilot Studio内で自然言語を使って簡単に作成・管理できます。
エージェントフローの概要
エージェントフローは、手動またはイベント・スケジュールに応じてトリガーされる自動化ワークフロー。
Copilot Studioのキャパシティを消費してアクションを実行。
例:SharePointにファイルが追加されたら、Teamsに通知を送る。実際の作成手順
Copilot Studioの「フロー」画面から新規作成。
「SharePointにファイルが追加されたらTeamsに通知」と自然言語で説明。
自動生成されたフローを確認し、必要な接続(SharePoint・Teams)を設定。
トリガー条件や通知内容をカスタマイズ。
フローを保存・公開し、SharePointにファイルを追加して動作確認。
Teamsに通知が届き、正常に動作することを確認。活用シーン
社内ヘルプデスク:パスワードリセットなどの自動対応。
営業支援:CRMから見積情報を取得してチャットで返答。
社内申請:休暇申請フォームを表示し、TeamsやSharePointに送信。メリット
Copilotがトリガーやアクションを提案してくれるため、簡単に設計可能。
Power Automateの追加ライセンスが不要なケースも。
既存のPower Automateフローを取り込むことも可能(一方向のみ)。注意点
実行ごとにCopilot Studioのキャパシティを消費。
利用可能なコネクタがPower Automateより少ない。
チャットベースの処理には強いが、複雑な条件分岐には不向き。まとめ
Copilot Studioのエージェントフローは、自然言語で簡単に業務自動化ができる便利な機能です。今回の例のように、SharePointとTeamsを連携させた通知フローなど、日常業務の効率化に大きく貢献します。今後さらに多様なユースケースへの応用が期待されます。