本記事は、AvePointが提供している製品の1つであるAvePoint Cloud Governance(以下、ACG)の管理者を想定した記事になります。
ACGを利用することで、チームやサイトを定期的に棚卸をして最新の状態を維持されているかと存じます。しかし、一部の例外があり、別の台帳で管理しているといったケースも存在します。
データの一貫性を保つためには、例外が発生しないように設計することが基本ですが、運用を進める中で追加の検討課題が発生することはよくあります。本記事では、そのようなケースの解決策を紹介します。
ACGの機能の一つであるメタデータを利用することで、台帳管理の一元化を行います。
ACGの台帳管理
ACGの台帳管理とは、ACG管理画面のワークスペースレポートやゲストユーザーレポートを指します。
以下のようにコンテンツを選択し、実行アクションから、棚卸の再実行やコンテンツの状態変更(削除、アーカイブ、リストアなど)、連絡先の変更、その他プロファイルの適用、レポートのエクスポートとしてCSVやXLSX形式での出力などが行えます。
申請サービスを介すことなく変更ができるため、移行過渡期の運用など例外処理が必要な場合に重宝します。
この台帳を利用して、メタデータの追加項目を付与し管理を行います。
なお、メタデータの表示は、右上の「列の選択」アイコンをクリックすることで選択が可能です。
導入手順
メタデータの作成
台帳管理するためのメタデータを作成します。
ACG管理画面の「プロファイル&テンプレート」-「メタデータ」から以下のようなメタデータを作成しました。台帳に表示させるためには、「Cloud Governance 管理センターのレポートに表示する」を「はい」にします。
一般の利用者が使用するMyHubツールのワークスペースでも検索できるようにしたい場合は、「ビジネス ユーザーが Cloud Governance ポータルでワークスペース、要求、ゲスト ユーザーを閲覧する際に表示する」を「はい」にします。
メタデータ用の申請サービス作成
ACG管理画面の「動的サービス」から新規サービスを作成します。「サービス」-「管理」-「メタデータの変更」ステップを選択してください。以下のようなフローを作成します。
「メタデータ値の変更を要求者に許可する」は、設定済みのメタデータを変更したい場合に利用するものです。申請時にメタデータが存在する場合に表示されます。
「メタデータの追加を要求者に許可する」は、申請時にメタデータが存在しない場合に表示されます。
「メタデータの削除を要求者に許可する」は、申請時にメタデータが存在する場合に削除を選択できます。
申請サービスの動作イメージ
メタデータの新規設定
MyHubから作成したサービスを選択し申請を行います。
「オブジェクトの名前またはURL」のテキストボックスにチームの表示名を入力します。以下のサンプルでは表示名が「テスト用」のものを選択しています。
「メタデータの追加」をクリックし、対象のメタデータを選択「追加」をクリックします。
選択タイプのメタデータのため、候補から選択します。メタデータのタイプにより内容は変わります。
「送信」をクリックします。
ワークスペースレポートで追加したメタデータが確認できます。
実行結果は「要求レポート」の「要求の詳細」から確認できます。
メタデータの変更設定
MyHubから作成したサービスを選択し申請を行います。
「オブジェクトの名前またはURL」のテキストボックスにチームの表示名を入力、適用済みのメタデータが表示されるため、値を変更し「送信」をクリックします。
ワークスペースレポートで変更したメタデータを確認できます。
「要求レポート」の「要求の詳細」からは、変更前の値を確認できます。
メタデータの削除設定
MyHubから作成したサービスを選択し申請を行います。
「オブジェクトの名前またはURL」のテキストボックスにチームの表示名を入力、適用済みのメタデータが表示されるため、ゴミ箱のアイコンを選択します。
「送信」をクリックします。
ワークスペースレポートで変更したメタデータを確認できます。値がないため「-」の表示になります。
「要求レポート」の「要求の詳細」からは、変更前の値を確認できます。
おわりに
今回は、メタデータの変更サービスを使用して、ACG管理下にある既存コンテンツにメタデータを追加することで台帳管理を一元化する方法を紹介しました。
通常の運用では、コンテンツの作成サービスにメタデータを付与する方法が適切かと思います。
今回の手順ではコンテンツを1つずつ処理する方法で対応をしています。複数コンテンツを対象に一括対応したい場合は、ワークスペースレポート上のプロファイルの一括置換機能を利用してプロファイル名で識別する方法が考えられます。
インポート機能による一括取り込みの方法もありますが、一度ACG上のDBから既存コンテンツを削除する必要があり、履歴が消えてしまいます。本番リリース前ならまだしもリスクが高く実用的ではありません。今後のアップデートでワークスペースレポートからメタデータの一括追加や置換がサポートされることを望みつつ、現時点で取りえる方法としてご案内させていただきました。