今回は、Fabric Copilotのうち、Power BIでの機能について解説したいと思います。
前提条件
本記事の前提条件は以下の通りです。
- Fablic環境は構築済み
- ワークスペースにFabric容量を割り当てている
- Fabricに関して基本的な知識を持っている
- Power BIに関して基本的な知識を持っている
Microsoft Fabric とは?
Microsoft Fabricは、データの取り込みから変換、保存、分析まで、データライフサイクル全体を網羅的にサポートします。これにより、データの一元管理と効率的な処理が可能になります。
AIトランスフォーメーションを推進し、データに基づいた意思決定を強化できる点が、統合データプラットフォームであるFabricの大きな特徴です。
Microsoft Fabricで準備されたデータは、Power BIとシームレスに連携し、高度なデータ分析と視覚化を実現します。Power BIを活用することで、複雑なデータも直感的に理解できるレポートやダッシュボードを作成し、ビジネスインサイトを迅速に発見できます。
さらに、Fabric Copilot in Power BIの機能を利用すれば、レポート作成やデータ分析がより効率的になります。Fabric Copilot in Power BIはAIが自然言語での指示を理解し、データからの洞察抽出やビジュアルの提案をサポートするため、データ分析の専門知識がないユーザーでも、より高度な分析が可能になります。
Fabric Copilot in Power BIとは?
Fabric Copilot in Power BIは、Microsoft Fabricのプラットフォームに統合されたAIアシスタントです。
大規模言語モデル(LLM)を活用し、ユーザーが自然言語で指示を与えることで、データ分析やレポート作成に関する様々なタスクを自動化・支援します。
Power BIのChatGPTのようなものと考えると分かりやすいです。
主な機能は以下の通りです。
レポートの自動生成と提案
- 自然言語で指示するだけで、データに基づいて最適なグラフやビジュアルを含むレポートページを自動的に作成します。
- データの特徴やビジネスコンテキストに基づいて、新しいレポートページのトピックや内容を提案します。
- 「昨日の売上データを取得し、地域ごとのグラフを作成してください」といった具体的な指示で、レポートを生成できます。
データの要約と説明
- レポートページやビジュアルの内容を要約し、データのインサイトを自然言語で説明するナラティブビジュアルを作成します。
- Power BIのセマンティックモデルの概要を生成したり、データに関する質問に回答したりします。
要約内容に関するドリルダウン(深掘り)や追加の質問
- 生成されたグラフや要約を見て、さらに詳細を知りたい場合、続けて自然言語で質問をすることができます。
- データの特徴やビジネスコンテキストに基づいて、新しいレポートページのトピックや内容を提案します。
- 単なる要約機能にとどまらず、ユーザーがデータとより自然にインタラクションし、必要な情報を段階的に掘り下げていくことを強力にサポートします。
Fabric Copilot in Power BIを使ってみる
上記で解説した項目に沿って、実際にFabric Copilot in Power BIの操作説明を行います。
本節の説明はセマンティックモデルが作成されていることを前提とします。
また、今回のセマンティックモデルで使用しているデータは、世界中で発生している交通事故データを使用します。
以降、Fabric Copilot in Power BI をCopilotと呼びます。
Fabricで操作をしたいセマンティックモデルを開き、「このデータを探索する」を選択、「空のレポートを作成する」を押下します。
赤枠の「Copilot」を押下し、画面右に Copilotチャットパネルが表示されていることを確認します。
Copilotでは最初に「What can Copilot help with today?」と表示があり、Copilotにやってほしいことを3つの選択肢から指示することができます。
画像のように「Suggest content for a new report page」を押下すると、Copilotがセマンティックモデルを参照し、レポートトピックを提案してくれるので任意の項目を選択します。
今回は「Accidents Severity Anaiysis」を選択、「+create」を押下します。
選択したセマンティックモデルをCopilotが読み込み、レポートを作成します。
作成した詳しい内容もCopilotが吹き出しで書き出してくれます。
次に、作成したレポートに対してCopilotに質問を行います。
内容を把握したいため、「要約して」と青枠内に入力して「送信」を押下すると、結果を確認できます。
次に、Copilotが要約した内容に対して、深堀(ドリルダウン)の質問を行います。
Copilotが要約した内容に対して質問を投げます。
下の画像のように、「各天候の事故件数について知りたい」と質問をするとCopilotが回答をしてくれます。
まとめ
本記事では、Fabric Copilot in Power BIにおける基本的な内容及び操作方法を紹介しまし た。
Fabric Copilot in Power BIを使用することで、手間がかかるレポート作成作業や分析をAIが 簡単に代用してくれますが、 セマンティックモデルの質が良くないと、AIのレスポンス精度が悪くなり、作成されるレポートや分析結果の品質も悪くなります。
そのため、AIのレスポンス精度を高くするためには、セマンティックモデルの質を高くする必要があります。
最近ではLLMの精度もアップデートされており、それに伴って分析能力等の向上が期待されています。
「Power BIでのレポート作成が苦手」な方や「レポート分析が苦手」とする方にとって、この記事が参考になれば幸いです。