OpenManage Enterprise(以降OME)とは、Dell Technologiesより提供される1対多のシステム管理用/モニタリング用Webアプリケーション製品です。
OMEのソフトウェアバージョンは、新しいバージョンが出ている場合アップデートすることが可能です。
インターネット接続が可能な環境であればオンラインアップデートにて対応できますが、インターネット接続が不可の場合は、いくつか下準備をしたうえでオフラインアップデートの手順で対応が必要となります。
オフラインアップデートの手順としては、Windows ServerでのNFS共有を利用した方法、LinuxサーバーでのNFS共有を利用した方法、Windows ServerでのHTTP共有を利用した方法の3つがあります。
本記事では、そのうちの一つである、Windows ServerでのNFS共有を利用したオフラインアップデートの方法を紹介します。
前提条件・今回の環境
前提条件
本記事では、バージョン「3.9.0→3.10.2」へのアップデートを対象として紹介します。
アップデート前に、下記マニュアルの「コンソールとプラグインのアップデート>アップデートの前提条件」を確認してください。
なお、以降の手順については、上記マニュアルを参考にしています。
今回の環境
- OpenManage Enterprise
- 更新前バージョン:3.9.0
- 更新後バージョン:3.10.2
- NFS共有用 Windows Server
- OSバージョン:Windows Server 2019 Standard
- NFSサーバとして利用できればOSバージョンの指定はありません
- OSバージョン:Windows Server 2019 Standard
アップデート用ファイルの準備
アップデートに必要なファイルをダウンロードします。アップデート用ファイルのフォルダ・ディレクトリ構成はダウンロード元と同様にする必要があります。
- Webブラウザにて、下記サイトへアクセスします。
https://downloads.dell.com/openmanage_enterprise/ - ダウンロード先のエクスプローラーに「OMEUpdates」という名前のフォルダを作成します。
- OMEUpdatesフォルダ配下に、今回のアップデートバージョン名のフォルダを作成します。今回のアップデートは3段階のアップデート(3.9.0→3.9.2→3.10.0→3.10.2)になるので、「3.9.2」「3.10.0」「3.10.2」のフォルダを作成します。
- 手順1のダウンロード元サイトから最新の「LexingtonUpdates.xml」ファイルと「LexingtonUpdates.xml.asc」ファイルをOMEUpdatesフォルダ配下にダウンロードします。
- 各バージョンごとのアップデート用ファイルを準備していきます。ダウンロード元のサイトにて、対象のバージョンをクリックして中身を確認し、手順3で作成したフォルダに同じ構成となるようにダウンロードしていきます。ここでは、例として「3.10.0」のフォルダを準備する場合について解説します。
- ダウンロード元のサイトの「3.10.0」内にあるファイル(この場合は「LexingtonUpdates.xml」ファイルと「LexingtonUpdates.xml.asc」ファイル)を、手順3で作成した「3.10.0」フォルダ配下にダウンロードします。
- ダウンロード元のサイトの「3.10.0」と同様に「full」フォルダを手順3で作成した「3.10.0」フォルダ配下に作成します。
- ダウンロード元のサイトの「3.10.0」>「full」フォルダ内にあるアップデートファイルを上記で作成した「full」フォルダ配下にダウンロードします。
- ダウンロード元のサイトの「3.10.0」配下の構成と、手順3のローカルフォルダ「3.10.0」配下の構成が同じになったことを確認します。
- 全ての必要なバージョンに対して、同構成のローカルフォルダを準備できたことを確認して完了です。
NFS共有設定の準備
役割の追加
Windows ServerにNFSサーバの役割を追加します。
詳細手順は本記事では割愛しますが、下記を参考にしてください。
共有設定
OMEとWindows Server間の共有設定を行います。
- 作成した「OMEUpdates」フォルダを、NFS共有用Windows Server上の任意の場所に配置します。
- 「OMEUpdates」フォルダを右クリックして、[プロパティ]>[共有]タブの[共有]を選択し、[共有する相手を選んでください]で「Everyone」を「読み取り/書き込み」権限で追加します。
- サーバーマネージャーから[ファイルサービスと記憶域サービス]>[共有]を選択して、[タスク]>[新しい共有]をクリックします。
- 以下パラメータ通りにNFS共有設定をします。
- プロファイルの選択:NFS共有 - 簡易
- 共有の場所:(カスタム)「OMEUpdates」フォルダのパス
- 共有名:omeupdates
- 認証:
- サーバー認証なし
- マップされていないユーザーアクセスを有効にする
- UID/GIDによるマップされていないユーザーアクセスを許可する
- 共有のアクセス許可:[追加]をクリックして以下設定を追加
- ホスト:アップデートするOMEのIPアドレス
- 共有のアクセス許可:読み取り/書き込み権限
- [確認]にて、設定が正しいことを確認して[作成]をクリックします。
- 設定が完了したことを確認して[閉じる]をクリックします。
オフラインアップデート
スナップショット取得
アップデートを実施する前に、スナップショットを取得することをお勧めします。
スナップショットを取得しておけば、もしアップデートに失敗した場合でも、スナップショットから切り戻すことが可能です。
※ スナップショット取得時は、OMEを停止(シャットダウン)した状態で実施します
アップデート実施
ここまでの準備が終わったら、いよいよアップデートを実施していきます。
アップデート用ファイルの準備でも述べましたが、今回のアップデートは3段階のアップデート(3.9.0→3.9.2→3.10.0→3.10.2)になります。
- OMEへログインして、[アプリケーション設定]>[コンソールとプラグイン]を選択します。
- [アップデート設定]をクリックし、以下設定に変更して[今すぐテストを実行]をクリックします。
- アップデート確認方法:手動
- アップデート確認対象:nfs://<NFS server IP>/omeupdates
- テスト接続のステータスが「接続完了」になったことを確認して、[適用]をクリックします。
- 以前のアップデートバンドル(アップデート用ファイル)が削除される旨のメッセージが表示されたら、[はい]をクリックします。
- 利用可能なアップデートが手動検知され、更新可能なバージョンが表示されることを確認します。
※ 今回は、利用可能バージョンとして「3.9.2.7」が表示されます - [アップデート]をクリックします。
- 利用可能なバージョンが手順5のものと同様であることを確認して、[アップデートのダウンロード]をクリックします。
-
ジョブの詳細画面に自動で移行しますので、ダウンロードジョブが完了するまで待機します。
- アップデートのダウンロードジョブが完了後、再度[アプリケーション設定]>[コンソールとプラグイン]を選択して、[アップデート]をクリックします。
- [アップデートコンソール]をクリックします。
-
「アップグレードの前にOME Enterpriseアプリケーションのスナップショットを取得したことに同意します」にチェックを付けて、[アップデートを確認]をクリックします。
- アップデートが開始されます。アップデートプロセス中にOMEが自動再起動されログアウトするため、プロセスが完了してログイン画面が表示されるまで待機します。
- OMEへログインして、バージョンが更新されたことを確認します。
- 続けて2段階目のアップデートを開始します。流れは手順5から13までの繰り返しとなります。
※今回は、利用可能バージョン「3.10.0.169」が表示されます。 - 続けて3段階目のアップデートを開始します。流れは手順5から13までの繰り返しとなります
※ 今回は利用可能バージョン「3.10.2.13」が表示されます。 - アップデート完了です。
なお、アップデート後、[アプリケーション設定]>[コンソールとプラグイン]>[アップデート設定]の値がアップデート前から変更されています。必要に応じて元の値に変更してください。
おわりに
本記事では、Windows ServerでのNFS共有を利用した、OpenManage Enterpriseのオフラインアップデートの方法を紹介しました。
インターネット接続が出来ない環境でのOMEアップデートが必要となった際は参考としていただければ幸いです。
残り二つの方法でのオフラインアップデートについても、今後別記事で紹介できればと思います。
ご覧いただきありがとうございました!