Tera TermによるSSH接続のはじめかた

Tera Term(読み:テラターム)は、Windows OSにインストールすることができる無料のターミナルソフト*1です。オープンソースとして広く一般に公開されており、誰でも自由に使うことができます。

Tera Termの使い方の一つに、LinuxサーバーへのSSH接続があります。

本記事では、Tera Termを使ってLinuxサーバーへSSH接続を行う人に向けて、覚えておきたい基本技から知っておくと便利な応用技まで紹介します。

【基本編】インストール

Tera Termの公式ページより、最新安定版のインストーラー「teraterm-x.x.exe」をダウンロードします。

インストーラーを実行し、ウィザードに従ってTera Termをインストールします。

TeraTermの公式ページ

【基本編】設定

Tera Termの設定は、最後に【設定の保存】を実行する必要があります。保存をしないままTera Termを閉じると、設定はすべて失われるので注意してください。

【設定1】ログ

既定ではTera Termのログは取得されません。接続毎に手動でログを保存する操作が必要です。

以下の設定で、新しい接続を行う度に指定したフォルダに、"<日付>_<時刻>_<接続先ホスト名またはIPアドレス>.log"というログファイルが自動的に取得されます。

(1)[設定]タブ - [その他の設定]をクリックします。

[設定]タブ - [その他の設定]

(2)[ログ]タブで以下のパラメータを指定し[OK]をクリックします。ログファイル名については補足を後述します。

  • 標準ログファイル名
    • %Y%m%d_%H%M%S_&h.log
  • 標準のログ保存先フォルダ
    • 任意のフォルダを選択
  • 自動的にログ採取を開始する:チェック
  • オプション
    • 追記:チェック
    • プレーンテキスト:チェック
    • ダイアログを非表示:チェック
    • タイムスタンプ:チェック
      • (ローカルタイム)

ログ設定
「標準ログファイル名」補足

標準ログファイル名には、以下の変数を使用することで、日付*2やホスト名(IPアドレス)を入れることが可能です。

  • &h: ホスト名またはIPアドレス
  • %d:10 進数で表す月の日付 (01 ~ 31)
  • %H:24 時間表記の時間 (00 ~ 23)
  • %S:10 進数で表す秒 (00 ~ 59)
  • %w:10 進数で表す曜日 (0 ~ 6、日曜日が 0)
  • %y:10 進数で表す西暦の下 2 桁 (00 ~ 99)
  • %Y:10 進数で表す 4 桁の西暦
  • %%:パーセント記号

例えば、本記事で用いた「%Y%m%d_%H%M%S_&h.log」の場合、ログファイル名は「20241101_113410_testvm01.local.net.log」のようになります。

「(オプション)ダイアログを非表示」補足

SSH接続時に以下のようなログウィンドウが表示されなくなります。

ログウインドウ
「(オプション)タイムスタンプ」補足

ログファイルの各行頭にタイムスタンプを出力します。

タイムスタンプ

※ ここで表示されるタイムスタンプは、接続先のLinuxサーバーではなくTera Termを実行する作業端末の日時となります

【設定2】コピーペースト

既定では、マウスの右クリックを押すとコピーした文字列が確認無しでペーストされます。コピーした文字列に改行が含まれている場合、ペーストした文字列がコマンドとして実行されることになります。

以下の設定で、コピーペースト操作を制御します。

(1)[設定]タブ - [その他の設定]をクリックします。

[設定]タブ - [その他の設定]

(2)[コピーと貼り付け]タブで以下のパラメータを指定し、[OK]をクリックします。

  • 右クリックでの貼り付けを確認する:チェック
  • (もしくは右クリックでの貼り付けを無効にする:チェック)

コピーペーストの設定

【設定3(オプション)】文字色と背景色

既定の色(黒色背景と白色文字)は変更することが可能です。

既定の色で問題ない場合は、本手順は実施不要です。

(1)[設定]タブ - [ウインドウ]をクリックします。

ウインドウ設定

(2)カラーの設定で文字色と背景色を変更し、[OK]をクリックします。

以下は黒色背景と緑色文字の設定です。

文字色と背景色の設定

【設定の保存】

設定を保存することで、以降Tera Termを起動する際に同じ設定が反映されます。

(1)[設定]タブ - [設定の保存]をクリックします。

設定の保存

(2)設定の保存画面で、Tera Termのアプリケーションフォルダ*3を選択し、ファイル名"TERATERM.INI"のまま[保存]をクリックします。同じ名前のファイルが存在する場合は、上書き保存します。

TERATERM.INI

以降、Tera Termを起動する際は、先の【設定1】~【設定3】の設定が反映されます。

【基本編】接続

Tera Termを起動すると、接続画面が表示されます。また[ファイル]タブ - [新しい接続]をクリックしても同じ画面が表示されます。

ホストに接続先Linuxサーバーのホスト名もしくはIPアドレスを入力し、[OK]をクリックします。

新しい接続

SSH認証の方法には、大きく以下の3つの方法があります。

  1. パスワード認証
  2. 公開鍵認証
  3. キーボードインタラクティブ認証(旧:チャレンジレスポンス認証)

SSH認証画面
パスワード認証

ユーザー名とパスワードで認証します。パスワードをメモリ上に記憶すると、次回以降パスフレーズにパスワードが入力された状態となります。

「パスフレーズ」にパスワードを入力し[OK]をクリックします。

パスワード認証
公開鍵認証

接続先のLinuxサーバーに、SSH接続するユーザーの公開鍵を登録しておく必要があります。

ユーザーの秘密鍵を選択し、秘密鍵にパスワードが設定されている場合は「パスフレーズ」にパスワードを入力し[OK]をクリックします。

秘密鍵にパスワードを入力する際も「パスワードをメモリ上に記憶する」にチェックを入れると、次回以降パスフレーズにパスワードが入力された状態となります。

公開鍵認証
3. キーボードインタラクティブ認証

接続先のLinuxサーバーの応答を待ってからパスワードで認証します。例えば、ESXiサーバーにSSH接続する場合は、こちらの認証方法を利用します。

ユーザー名を入力し[OK]をクリックします。

キーボードインタラクティブ認証

パスワードを入力する画面が表示されるので、パスワードを入力します。

キーボードインタラクティブ認証

【応用編】知っておくと便利な情報

公式サイトのヘルプページ

Tera Termプロジェクト公式サイトのヘルプページでは、様々な機能が紹介されています。

Tera Term ヘルプ 目次

文字列のコピーペースト

コピー

Linuxサーバーに接続した状態で[Ctrl + c](Windowsのコピー操作のショートカットキー)を入力すると、実行中のプロセスを終了させてしまうでご注意ください。

Tera Termで文字列をコピーしたい場合は、対象の文字列をマウスでドラッグします([Enter]キーの入力等は不要です)。

コピー
ペースト

Linuxサーバーに接続した状態で[Ctrl + v](Windows Serverのペースト操作のショートカットキー)を入力しても何も起きません。

コピーした文字列を貼り付ける場合は、マウスで右クリックします。ただしコピーペーストの設定で「右クリックでの貼り付けを無効にする」設定をしている場合、ペースト操作はできません。

ペースト

known hostsのセキュリティ警告

known hostsは、過去のSSH接続情報を記録するファイルです。

はじめて接続する接続先に対して、以下の警告が表示されます。「このホストをknown hostsリストに追加する」にチェックを入れれば、以降同じサーバーに接続する際に警告が表示されなくなります。

初回セキュリティ警告

過去に接続した情報と差異がある場合、以下の警告が表示されます。たとえば同じホスト名やIPアドレスで別のサーバーを作り直した場合等が例として挙げられます。「既存の鍵を、新しい鍵で上書きする」にチェックを入れれば、以降同じサーバーに接続する際に警告が表示されなくなります。

差異があるときのセキュリティ警告

複数台一括操作

ブロードキャストコマンドは、複数台のサーバーに対して同時に同じコマンドを実行することが可能です。

作業対象のサーバー全台にログインするには、任意の1セッションで、[コントロール]タブ - [ブロードキャストコマンド]をクリックします。

ブロードキャストコマンド

コマンドのブロードキャスト画面下部に現在Tera Termで接続しているセッションがすべて表示されるので、操作対象のサーバーをクリックし選択された状態にします。

ブロードキャストコマンド

キーボード操作をそのまま入力したい場合は、「リアルタイム」がチェックされた状態で操作します。EnterキーやDeleteキーも使うことができます。

以下の画面では、date - [Enterキー] - hostname - [Enterキー]の順にキーボード操作を行った結果です。3セッション同時に、dateコマンドとhostnameコマンドが実行されました。

誤操作防止のため、コマンド実行後はブロードキャストコマンドを送信したすべてのウインドウの実行結果を確認してください。

リアルタイム操作

文字列を1行ずつ入力したい場合は、「リアルタイム」のチェックを外した状態で操作します。「送信」をクリックしたタイミングで文字列とEnterキーが実行されます。

ご操作防止のため、コマンド実行後はブロードキャストコマンドを送信したすべてのウインドウの実行結果を確認してください。

非リアルタイム操作

おわりに

本記事により、Tera Termの覚えておくと便利な機能を、より多くの方に知っていただけれれば幸いです。

*1:コンピュータをコマンドラインで操作するためのソフトウェア

*2:接続先のLinuxサーバーではなく、Tera Termを実行する作業端末の日時

*3:実行ファイル"ttermpro.exe"が保存されているフォルダ、既定は"C:\Program Files (x86)\teraterm\"

執筆担当者プロフィール
山﨑 優美

山﨑 優美(日本ビジネスシステムズ株式会社)

ハイブリッドクラウド本部に所属。Windows Server・Linux、どちらのOSでもさわれるインフラエンジニアです。3児のママも兼務しています。

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