WindowsのGUI環境でSSHFSを使用する方法

SSHFS(SSH File System)は、SSH(Secure Shell)を利用してリモートファイルシステムをローカルマシンにマウントするための強力なツールです。本記事では、SSHFSの概要、利点、導入手順、注意点について詳しく説明します。

導入手順については、WindowsのWSL環境経由での構成を前提としています。WSL環境とSSHサーバー環境があることを前提とします。WSLで選択できるディストリビューションは複数ありますが、ここでは既定のUbuntuを想定しています。

※ WinSCPなどのフリーウェアを使用しなくても、エクスプローラー操作は可能です

SSHFSとは?

SSHFSは、SSHプロトコルを使用してリモートファイルシステムをマウントするためのファイルシステムクライアントです。

これにより、ローカルマシンからリモートサーバー上のファイルを直接操作することができ、ファイル転送やリモートファイルの編集が非常に簡単になります。

SSHFSは、FUSE(Filesystem in Userspace)を使用して実装されており、Linux、macOS、Windowsなどのさまざまなオペレーティングシステムで利用できます。

SSHFSの利点

セキュアな接続

SSHFSはSSHプロトコルを使用して接続を確立するため、通信が暗号化されており、セキュリティが高いです。これにより、インターネット上でファイルを転送する際にも安全です。

簡単な設定

SSHFSの設定は非常に簡単で、SSHアクセスが可能な環境であればすぐに利用できます。追加のソフトウェアをインストールする必要もなく、既存のSSHサーバーを利用するだけで済みます。

高い柔軟性

SSHFSは、さまざまなファイルシステムをサポートしており、異なるオペレーティングシステム間でのファイル共有が容易です。また、リモートサーバー上のファイルをローカルマシン上で直接編集することができるため、開発環境の設定やデータのバックアップにも便利です。

SSHFSの導入手順

SSHFSのインストール

WSL環境上で以下のコマンドを実行し、パッケージの最新化とsshfsのインストールを実施します。

sudo apt update
sudo apt install sshfs

リモートファイルシステムのマウント

以下は作業ディレクトリとマウントを行う例文になります。

sudo mkdir /mnt/sshfs
sudo sshfs ymiya@192.168.0.1:/C:/Users/ymiya/downloads /mnt/sshfs/ -o allow_other,reconnect

マウントの基本構文は以下のとおりです。

sshfs [ユーザー名]@[ホスト名]:/[リモートディレクトリ] [ローカルディレクトリ]

オプションのallow_otherは、誰でもマウントポイントにアクセスできるようにする設定です。また、reconnectはネットワーク切断時に自動的に再接続を行う設定です。

マウント後、ローカルディレクトリを確認すると、リモート側のマウント先にフォルダやファイルが存在する場合は表示されます。

ls /mnt/sshfs

ファイル操作

エクスプローラーのツリー表示からアクセスしファイル転送が可能です。

以下のようにrobocopyコマンドでファイル転送することもできます。

robocopy <ローカルパス> \\wsl.localhost\Ubuntu\mnt\sshfs 転送するファイル名

マウントの解除

作業完了後は、以下コマンドで切断できます。

sudo umount /mnt/sshfs

注意点

パフォーマンスの問題

SSHFSはネットワークを介してファイルを操作するため、大量のファイルや大きなファイルを扱う場合にはパフォーマンスが低下することがあります。

そのため、使用環境や用途によっては他のファイルシステムやプロトコルを検討する必要があります。

ネットワークの安定性

SSHFSはネットワーク接続に依存しているため、ネットワークが不安定な場合には接続が切れることがあります。

再接続オプションを使用して自動的に再接続する設定を行うことで、この問題を軽減することができます。

セキュリティの問題

SSHFSは暗号化された接続を提供しますが、セキュリティを強化するためにはSSHキー認証を使用することが推奨されます。パスワード認証よりも安全で、リモートサーバーへの不正アクセスを防止するのに役立ちます。

SSHクライアント側でのSSHキー認証の設定方法は、ssh_configファイル、またはsshfsコマンド実行時に-oオプションでIdentityFileを指定します。

セキュリティを強化する方法としては、接続元やユーザー名の制限、ポート番号の変更、暗号化方式の変更など手段は多数存在します。これらの設定は、SSHクライアントだけでなくSSHサーバー側の設定が必要ですが、本題の趣旨と異なるため、詳細は割愛します。

まとめ

SSHFSは、リモートファイルシステムをローカルマシンにマウントするための便利なツールであり、セキュアな接続を提供します。設定も簡単で、高い柔軟性を持っていますが、パフォーマンスやネットワークの安定性に注意が必要です。

コマンド操作に慣れている人であれば、最新のWindowsに標準で組まれているsftpやscpコマンドで十分対応可能かと思います。

LinuxなどWindows以外のプラットフォームのディレクトリをWindowsの共有フォルダのように扱いたい時は、今回紹介したWSL経由での対応を検討してみてください。

執筆担当者プロフィール
宮久保 良彦

宮久保 良彦(日本ビジネスシステムズ株式会社)

モダンワークプレイス部に所属。 Azureに関連する提案、設計、構築を担当しています。 自作PCのカスタマイズが趣味です。

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