【Informatica】Secure Agent 構築 (Linux OS)

はじめに

近年企業のデータ活用が行われており、オンプレミス、クラウドサービス問わず様々なサービスや、ツールが存在しています。

Informatica 社の提供するInformatica Intelligent Cloud Service (以降、IICS)と呼ばれるデータ活用のプラットフォームもその一つです。

データの加工を定義し、データウェアハウスなどにデータを格納するといったジョブ開発を、GUIの操作を中心として行えるツールとなっています。

本記事は、IICSで定義したデータの処理を実行するコンポーネントである、「Secure Agent」の構築の記事となっています。

Informatica 社についてはこちらの公式サイトをご覧ください。
www.informatica.com

Secure Agent とは

Secure Agent はIICSが提供するデータ加工や、処理の実行を行うランタイム環境です。

この環境はクラウド上でも、オンプレミスサーバに構築することが可能です。

データエンジニアリングの1つの概念であるETL (Extract/Transform/Load)の一連の流れの中に組み込むと、以下のように、実際の処理を行うコンポーネントとして役割を担います。

1. IICS上のGUI操作で、データの処理内容を定義。
2. クラウドや、オンプレミスデータを抽出。(ETL の E)
3. ランタイム環境のSecure Agentで実際のデータ加工処理。(ETL の T)
4. 加工されたデータをデータウェアハウス、データレイクなどに格納。(ETL の L)

本記事では、社内オンプレミスサーバにSecure Agent を構築することを想定し、Linux OSで稼働するSecure Agent構築を実施します。

Secure Agent構築

環境

Windows 11で動作する VMware Workstation Player 上に、以下の条件で、Secure Agentをインストールする環境(以降、Linux 環境)を構築します。

環境設定値

・VMware Workstation Player バージョン : 16.2.4 build-20089737
・ゲストOS : Ubuntus 22.04
・仮想マシン割り当てメモリ : 16
・仮想マシンプロセッサコア数 : 4
・仮想マシン割り当てハードディスク容量 : 260GB
→Secure Agent インストールを行うディレクトリのパーティションに250GB割り当て。


OSやメモリ、プロセッサコア数、ハードディスクの設定値は以下の公式ドキュメント、Communityの情報をもとに選定しました。

・LinuxでのSecure Agentの要件
https://docs.informatica.com/ja_jp/integration-cloud/cloud-data-integration/current-version/_getting-started_cloud-data-integration_current-version_ditamap/GUID-0DE1AE2D-F1A6-401A-987C-D45E7EE43AAF/GUID-D3188662-AD25-4157-9A30-C838C971538D/GUID-1EA6E74B-D86D-4A12-BC35-A83969A20A8E.html

・IICS Minimum requirements and best practices when installing Informatica Cloud Secure Agent
https://knowledge.informatica.com/s/article/526096?language=en_US&type=external
→ハードディスク、メモリなどのリソースの推奨値について。

・PAM for Informatica Intelligent Cloud Services (IICS)※
https://knowledge.informatica.com/s/article/DOC-17579?language=en_US
→OSバージョンの要件など

※こちらの記事を閲覧する際は「Informatica Account」の登録が必要になります。
2023年2月現在、以下のInformaticaトップページから、登録を実施できます。
https://www.informatica.com/jp/


Secure Agent インストールプログラムのダウンロードとインストール

Secure AgentをLinux 環境にインストールするために、IICS からインストールプログラムを入手します。

IICSにログインを実施し、「管理者」をクリックします。


「ランタイム環境」をクリックし、画面右上の「Secure Agent のダウンロード...」をクリックします。


プラットフォームは「Linux 64」を選択します。
その後、インストールトークンをコピーしてから「ダウンロード」をクリックします。
インストールトークンは、Linux 環境をSecure AgentとしてIICSに登録する際に使用します。


Linux 環境内に、Secure Agent をインストールするディレクトリを作成します。
ディレクトリの所有者、所有者グループは一般ユーザを利用します。

## /SecureAgent をインストールプログラムを実行するディレクトリとします。##
[f:id:jbs_mauchida:20230129212555p:plain]
$ sudo chown user1:user1 /SecureAgent

##所有者の確認。##

$ ls -al / | grep SecureAgent
drwxr-xr-x   3 user1 user1  4096 Jan 29 12:44 SecureAgent

Linux 環境にインストールプログラムを配置します。
ホストOSでダウンロードしたインストールプログラムを Linux 環境に配置する際は、ターミナルソフトの SCP 機能などを利用してください。
今回、インストールプログラムの転送は TeraTerm のSCP機能を利用し、ホストOSから Linux 環境へ配置しました 。
今回、SecureAgent の所有者となるユーザのホームディレクトリにインストーラを配置します。

From をインストーラのディレクトリを指定。Toは送信先のディレクトリ。


インストールプログラムに対して、所有者の実行権限を付与します。

## 実行権限の付与 ##
~$ chmod u+x agent64_install_ng_ext.6425.bin

## 権限の確認 ##
~$ ls -al agent64_install_ng_ext.6425.bin
-rwxr--r-- 1 user1 user1 147091944 Feb  1 11:10 agent64_install_ng_ext.6425.bin

インストールプログラムを実行します。

## ./<インストールプログラム名> -i console を入力し実行
~$ ./agent64_install_ng_ext.6425.bin -i console


インストールが進みます。
インストール先のディレクトリを尋ねられます。
今回は /SecureAgent 配下にインストールしますので、「ENTER AN ABSOLUTE PATH, OR PRESS TO ACCEPT THE DEFAULT:」に続けて、インストールするディレクトリを入力します。

Preparing to install
Extracting the JRE from the installer archive...
Unpacking the JRE...
Extracting the installation resources from the installer archive...
Configuring the installer for this system's environment...

Launching installer...

===============================================================================
Informatica Cloud Secure Agent                   (created with InstallAnywhere)
-------------------------------------------------------------------------------

Preparing CONSOLE Mode Installation...




===============================================================================
Choose Install Folder
---------------------

Where would you like to install?

 Default Install Folder: /home/user1/infaagent

ENTER AN ABSOLUTE PATH, OR PRESS <ENTER> TO ACCEPT THE DEFAULT
     

パスを入力し、Enter を押下すると確認があります。
問題がなければ Y を入力し、Enter を押下して先に進みます。

INSTALL FOLDER IS: /SecureAgent
   IS THIS CORRECT? (Y/N): Y

先に進むと環境設定の確認が入ります。
問題がなければ Enter を押下して先に進めます。

===============================================================================
Pre-Installation Summary
------------------------

Please Review the Following Before Continuing:

Product Name:
    Informatica Cloud Secure Agent

Install Folder:
    /SecureAgent

Disk Space Information (for Installation Target):
    Required:      292,714,815 Bytes
    Available: 249,500,409,856 Bytes

PRESS <ENTER> TO CONTINUE:
===============================================================================
Installing...
-------------

 [==================|==================|==================|==================]
 [------------------|------------------|------------------|------------------]



===============================================================================
Generating Agent Token...

Please Wait
-----------



===============================================================================
Creating softlink...

Please Wait
-----------



===============================================================================
File permission

Please Wait
-----------



===============================================================================
Installation Complete
---------------------

Congratulations. Informatica Cloud Secure Agent has been successfully
installed to:

/SecureAgent

To start the agent, go to directory "<agent_directory>/apps/agentcore" and
then run "infaagent startup". Check the infaagent.log file
for errors, and then visit the Informatica Cloud site to verify that the
agent is active.

PRESS <ENTER> TO EXIT THE INSTALLER:

「PRESS TO EXIT THE INSTALLER:」と出ましたら、Enter を押下して、インストールは終了です。
続いて、Secure Agent の起動と、IICSへ接続します。

Secure Agentの起動とIICS接続

インストーラの設定を終了し、次のディレクトリに移動します。

<Secure Agent のインストールディレクトリ>/apps/agentcore
~$ cd /SecureAgent/apps/agentcore/


Secure Agentを起動します。

./infaagent startup

作成した Secure Agent をIICS側に登録します。
Secure Agent を新規にグループ追加するためには次のコマンドを使用します。

./consoleAgentManager.sh configureToken <user name> <install token>

user name は IICS のユーザー名です。
install token に、インストールプログラムをダウンロードする際にコピーした「インストールトークン」を入力します。

成功すると、以下の表示があります。

Login with token
Login succeeded.


その後、Secure Agent の登録ステータスを以下のコマンドで確認します。

./consoleAgentManager.sh isConfigured

入力後、tureが表示されると、Linux 環境側の設定確認は終了となります。

true

「ランタイム環境」で、作成されたSecure Agentが表示されていることも確認できます。

おわりに

本記事では Secure Agentのインストールプログラムの入手から、Linux OSにインストールを実施、起動確認までを実施しました。

処理を行うコンポーネントは作成できましたが、実際にデータの抽出・加工・蓄積ジョブを実行するためには、ストレージやデータウェアハウスのサービスと連携させる必要があります。

次回は、様々なサービスとIICSを連携させるコンポーネントである、接続(Connector) の作成を題材としたいと思います。

本記事が皆様のご参考となっておりましたら幸いです。

執筆担当者プロフィール
内田 誠人

内田 誠人(日本ビジネスシステムズ株式会社)

約4年のネットワークエンジニア経験から、データエンジニアの領域に足を踏み入れたインフラエンジニア。 かき氷愛好家。

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