Exchange Online PowerShell の V2 モジュールと New-PSSession を使った接続が廃止されます

現在利用可能な Exchange Online PowerShell モジュールについてV3と呼ばれる3.x.x 以降がサポート対象となりRPS(リモートパワーシェル)を使って接続を行う V2, V1 (New-PSSession) が廃止されます。

Exchange Online PowerShell モジュールについて

テナントの Exchange Online の設定を CUI で変更するために Exchange Online PowerShell モジュールを利用することができます。

このモジュールを使うことで CSV ファイルにメールボックスの情報を吐き出したり一括でメールボックスの設定や予定表の設定を変更したりと Exchange の管理者が行う設定を多岐にわたってコマンドで変更することが可能となります。

  • 例: テナントのメールボックスを一覧を取得するコマンド*1
Get-EXOMailbox

サポート終了となるモジュール

Microsoft 365 管理センターのメッセージセンターよりサポートされているバージョンがV3となりRPSを利用する過去のV2, V1モジュールが廃止となる旨アナウンスがありました

参考: Announcing Retirement of Remote PowerShell (RPS) protocol in Exchange Online PowerShell*2

廃止予定時期: 2023年6月上旬~6月下旬

現在利用しているモジュールを把握しアップデートするためには

以下の2つの方法のどちらかを利用して Exchange Online PowerShell モジュール を利用できます

  1. PowerShell Getを利用してモジュールをインストール
  2. New-PSSessionを使ってExchange環境にリモートパワーシェルで接続

PowerShell Getを利用してモジュールをインストール場合

  • 以下の方法を利用してモジュールをインストールしている場合対象となります
Install-Module ExchangeOnlineManagement

この場合PCにモジュールがインストールされているため以下のコマンドでインストールされているモジュールを確認します

# インストールされているモジュールを確認する
Get-InstalledModule ExchangeOnlineManagement | Select-Object Version, Name
  • 結果例
Version Name
------- ----
2.0.5   ExchangeOnlineManagement
  • ここで表示されるバージョンが2.x.xの場合モジュールをアンインストールする必要があります*3
Uninstall-Module ExchangeOnlineManagement
  • アンインストールが完了したのち最新バージョンをインストールします
# 最新バージョンのモジュールをインストール
Install-Module ExchangeOnlineManagement

New-PSSessionを使ってExchange環境にリモートパワーシェル (RPS) で接続している場合

  • 以下のコマンドを利用して接続をしている場合対象となります
$Session = $Session = New-PSSession -ConfigurationName Microsoft.Exchange -ConnectionUri https://outlook.office365.com/powershell-liveid/ -Credential $UserCredential -Authentication Basic -AllowRedirection

この場合新たに最新のモジュールをインストールしそのモジュールを使って接続を行うことで解決します

# 最新バージョンのモジュールをインストール
Install-Module ExchangeOnlineManagement

新しいモジュールを使った接続方法について

  • 新しいモジュールがインストールされた後は Connect-ExchangeOnline と入力し接続を行います
  • 実行例
C:\Users\User>Connect-ExchangeOnline

----------------------------------------------------------------------------------------
This V3 EXO PowerShell module contains new REST API backed Exchange Online cmdlets which doesn't require WinRM for Client-Server communication. You can now run these cmdlets after turning off WinRM Basic Auth in your client machine thus making it more secure.

Unlike the EXO* prefixed cmdlets, the cmdlets in this module support full functional parity with the RPS (V1) cmdlets.

V3 cmdlets in the downloaded module are resilient to transient failures, handling retries and throttling errors inherently.

However, REST backed EOP and SCC cmdlets are not available yet. To use those, you will need to enable WinRM Basic Auth.

For more information check https://aka.ms/exov3-module
----------------------------------------------------------------------------------------

C:\Users\User> #接続が完了したためExchange Online PowerShellのコマンドレットを利用できます
  • 利用終了時には接続を解除します
C:\Users\User>Disconnect-ExchangeOnline

Running this cmdlet clears all active sessions created using Connect-ExchangeOnline or Connect-IPPSSession.
Press(Y/y/A/a) if you want to continue.
[Y] はい(Y)  [A] すべて続行(A)  [N] いいえ(N)  [L] すべて無視(L)  [S] 中断(S)  [?] ヘルプ (既定値は "Y"): A
C:\Users\User>

新しいモジュールのメリット

去年(2022年) 9月に新しくリリースされたV3モジュールはREST API を利用するコマンドとなり安全性、信頼性、パフォーマンスが向上しています。

  • より安全 REST API コマンドレットは最新の認証をサポートしているため、管理者はクライアント コンピューターで WinRM 基本認証をオフにすることができます
  • 信頼性 の向上 - REST API コマンドレットは、組み込みの再試行で一時的なエラーを処理します。これにより、ネットワークの遅延やクエリの実行時間の延長による障害が最小限に抑えられます
  • パフォーマンス の向上 - 接続が確立されると、Exchange PowerShellのために PowerShell 実行領域を確保する必要がなくなるため、パフォーマンスが向上します

参考: Exchange Online PowerShell V3 Module General Availability

Q&A

これまであったモジュールは動作するのか?

Exchange Online PowerShell の REST API コマンドレットには同じコマンドレット名があり、リモートの PowerShell と同じように機能するため、スクリプトを更新する必要はありません。

既存モジュールは動作しなくなるのか?

  • V1, V2モジュールでは RPS (リモートパワーシェル)を使った接続を行うため、2023年6月下旬にRPSを使った接続が廃止となると、両モジュールを使った接続ができなくなります

*1:件数が多い場合すべては表示されません

*2:Microsoft 365管理センターへアクセス権を持つユーザーのみ表示できます

*3:管理者権限を利用してインストールした場合アンインストールについても管理者権限を利用する必要があります

執筆担当者プロフィール
笠井 新

笠井 新(日本ビジネスシステムズ株式会社)

Microsoft 365周りを日々修練中。

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